2009年11月20日金曜日

セカンドライフと創造

こんばんは、ジョンソンです。
hisaさんによるCOMLABの建設も順調に進んでいるようでなによりです。

さて、セカンドライフを活用してさまざまな事案が試みられているなか、昨年も紹介しましたが、日本での活用事例として、2008年にAP通信が世界配信した慶応大学の牛場先生のセカンドライフを活用した試みについて、10月14日〜16日東京・京王プラザホテルで行われた「第68回日本脳神経外科学会」で、「脳神経外科の分化と統合を俯瞰する」というテーマで行われた学会で牛場先生が発表されていました。

内容概略(医学書院HPより):牛場潤一氏(慶大理工学部)は,2種類のBMIの臨床応用について解説した。まず機能代償型のBMIでは,左手・右手・両足の運動イメージ時,そして安静時の4状態の脳波を読み取り,インターネット上の3D仮想世界「セカンドライフ」内のキャラクターを筋ジストロフィーの患者に操作させることに成功。そして機能回復型のBMIとしては,麻痺側の手の伸展イメージにより発生する脳波を読み取り,麻痺手を機械の力で伸ばす装置を開発。訓練の前後で,脳波変化・筋電図の振幅ともに大きくなり,かつ安定したという。氏は頭皮脳波を用いたBMIの利点として,比較的簡便にさまざまな疾患に施行が可能で,どの疾患にどんなBMIが有用か俯瞰的に実証できること,リハビリを阻害するような脳活動の抑制にも利用できることを挙げた。

牛場先生は、交通事故などで身体が不自由になった方の脳波で、セカンドライフのアバターを操作する事を可能としました。これは外出もままならない方にとっては、仮想世界のなかのアバターとはいえ、社会と接する事の出来る画期的な研究であり、脳のリハビリテーションにもなるとの事でした。私が研究室(富田・牛場研究室)に伺ったときは、学生の方によるデモンストレーションを見せて頂くと共に、事故に遭われ不自由な身体になられた友人のために、何か出来なかと言うところから研究が始まった事をお聞きし、大変感銘したことを今でも覚えてます。



海外では心に傷を負った子どもたちに、セカンドライフで社会を体験させ、社会復帰のツールとして活用している事例もあります。また、米国では戦争で身体や心に傷を負った人のために、セカンドライフ内にコミュニティー「AVESS」を構築し、本人のみならず家族のために交流とリハビリを目的に運営されています。

セカンドライフは最近人気がないとの話を良く耳にしますが、世界的に見ると成長しています。セカンドライフが、他の仮想空間と異なるところは、多くの研究者、大学、研究機関や様々な団体が、現実社会では十分に表現できない事案、周知できない事案、参加が難しい事案、仮想世界で行う方が効率の良い事案などのに活用しています。11月にはLinden Labより、新たなサービスとして「Second Life Enterprise(ファイアウォール内に仮想空間を構築・運営するソリューション)」が提供されるようになりました。これにより企業内仮想世界イントラネットの実現やグローバル企業などの会議費の節減、イーコマース、ホームページを作るように、企業独自の展示会場など、企業の利用を活性させる事となるでしょう。今年、企業の撤退が相次ぎましたが、Second Life Enterpriseの提供で企業の活用範囲が大きく広がり、企業の再参入も十分に考えられます。

セカンドライフは、研究・教育・企業活用・ボランティア・表現の場など、ユーザーの創造でさまざまな試みが行われ、現実社会に貢献(還元できる)事案を創造し続けています。人とのコミュニケーションの機会を失った人々に、その機会を与えられるだけでも社会にとって必要なツールだと考えます。

セカンドライフをはじめとする多くの仮想空間を十分に理解せずに、否定的な意見を発言する人が、今なお多いようですが、そのような方々が、最も創造性のない人だと考えますが如何でしょうか。

最近注目の試み
インテル社の実験用オープンシム
AVESS
企業と大学の共同緊急医療のトレーニングシステム研究
現実世界の美術界や学会で国際的に活動している芸術研究所「IDIA」

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